【書道&最澄と空海】「 初夏 」の書き方 能筆家 最澄と空海おもしろいやりとり歴史
「 初夏 」は、小学校中学年~大人向けの字になります。書道で上手に書けるようにするためのポイントを詳しく説明していきます。
能筆家であった最澄と空海のおもしろいやりとりのお話をわかりやすく紹介しています。ぜひ、こちらもたのしんで見てください。
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「 初夏 」の書き方
「初夏」書道の書き方 小学校中学年~大人向け
「 初夏 」「初」の書き方
①「初」1画目の点は、中心線にそわす位置で書きます。
②2画目ななめうえ上がりになる位置からスタートし、スタート位置とほぼ同じところではらいます。
③3画目まっすぐ下でしっかり止めます。
④4画目小さくはらい、5画目にぶつかりすぎない位置をねらいます。
⑤5画目「刀」のスタート位置は4画目はらいの位置よりやや上を目安にスタートさせ「衤」より低い位置にし、3画目より短めにななめに下りはねます。「衤」より上下とも短くすることでうまくバランスがとれます。
⑥6画目はらいも長すぎないように終わります。
「 初夏 」「夏」の書き方
①「 初夏 」「夏」一画目は、中心線を基準に横の長さを左右おなじくらいにし長めにかきます。
②2画目はらいはできるだけ小さめにします。(長くしすぎるとバランスが悪くなります)
③3画目まっすぐ下へおります。
④3画目と4画目が平行になるように下にまっすぐおります。
⑤5画目6画目7画目は、やや細めにし、同じはばがあくようにします。
⑥6画目はらいは長くしすぎないようにします。
⑦7画目のはらいは、6画目の長さとほぼ同じ位置で終わるくらいにはらいます。
⑧7画目のはらいの高さと同じ位置ではらいます。
これらを参考にして書いていただけるとバランスがとれた字がかけるようになります。
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最澄(さいちょう)と空海(くうかい)のおもしろいやりとり
ここから、能筆家(のうひつか)であった最澄(さいちょう)と空海(くうかい)のおもしろい歴史のお話へとすすみます。
最澄(さいちょう)空海(くうかい)とは
最澄(さいちょう)、空海(くうかい)は、能筆家(のうひつか)といって字がとてもきれいな人たちとして歴史にきざまれています。
https://www.ac-illust.com/main/detail.php?id=22907983
最澄は、伝教大師(でんぎょうたいし)空海は、弘法大師(こうぼうたいし)とよばれています。
最澄は、天台宗(てんだいしゅう)を、空海は、真言宗(しんごんしゅう)を広めました。日本で有名な二大仏教を広めたすごくえらいお坊さんたちです。
最澄の人柄と実績
最澄と空海は、遣唐使(けんとうし)として中国へ渡り仏教の勉強を積みました。最澄は、今でいう日本国、政府機関等の援助により留学し、空海は、私費留学生で自分のお金で留学していたので、立場は最澄の方が上だったようです。
最澄は、まじめな人柄(ひとがら)で、天台宗の教えを日本に広めることを考え学び、正統(せいとう)な後継者(こうけいしゃ)として認めらるほどの人物で桓武天皇(かんむてんのう)とも関わりを深く強めていた人物だったと記されています。
空海の教えと人気
一方、空海の広めた真言宗(密教)は、木を燃やして祈祷(きとう)する護摩(ごま)、曼荼羅(まんだら)(仏様の配置図を描いた仏画)、雨乞い(あまごい)をし祈祷(きとう)などを行うので、この当時の人々からは、未知の世界観があり、とても珍しがられたようです。
学問的な仏教だけではない新しい仏教の教えは、次第に大人気となり、空海の開いたお寺へお参りすると開運や厄除け(やくよけ)といったご利益を得られると大ブームになります。
まっすぐな最澄と空海のやさしさ
この人気に桓武天皇(かんむてんのう)も空海の教えに興味をもちはじめたようです。そして、最澄の学んだ教えの中にも真言宗密教の教えがあると聞いて、驚き喜んだといいます。
この反応に最澄は、密教のことも人々に教えていかなければいけなくなるのですが、実は、最澄は、密教を軽く学んだだけで深くなかったのです。
その頃、空海は、真言密教第一人者としてますます有名になります。のちに即位した嵯峨天皇(さがてんのう)とも仲がよく政治的にもかしこい人物であったといいます。ちなみに嵯峨天皇は、最澄のことも重んじてみていたようです。
最澄は、空海に真言宗密教を任せ、天台宗を広める活動に力を入れれば良かったのですが、まじめな性格から知らないことがある密教についても深く学んでみようと考えます。
そこで、空海に「私は、密教のことをよく知らないので、以下にあげる書物を貸してください。」といった内容の手紙をダイレクトに書いて送りました。
空海は、伝教大師の最澄からの手紙おどろいたようです。最澄は、書物だけでちがう教えをも自分のものにしようとしているのかとも思ったかもしれません。
しかし、空海は、最澄からの手紙のたのみをことわることなく、大事な本を何冊か貸します。
最澄は、次々にちがう書物もかしてほしいとたのみ、そのたびに空海は、書物を貸しました。手紙の中には、書物に関する質問もあったようで、それにも空海は丁寧に答えているそうです。
最澄が空海にあてたおもしろい手紙
最澄は、かりた本の返却をなかなかしないときもあったようで、空海からそろそろこの間の本を返していただきたいといった内容の手紙も何通かのこされています。
そのときの、最澄が空海へ送った手紙の中のひとつです。
《原文》 『一華厳経の本、冬節雪寒く写し取ることを得ず。今三月以還(このかた)写し畢らば(おわらば)将に(まさに)その本を奉送(ほうそう)せんとす。惟うに(おもうに)叱責(しっせき)することなかれ。敢て(あえて)損失(そんしつ)せず。謹空。』
意味は、「過般(このあいだ)拝借いたしました「華厳経」の本は、この冬が今までにないほど特別寒さがきびしく、いまだに書写しきれていないままになっております。
この3月以降には写しおえてかならずお返しいたします。なにとぞ叱責(しかる)なさいませぬように。決して傷つけなくすことはありません。
謹んで恭敬(つつしみうやまう)いたします。」
《原文》仲春稍(やや)暖かくなり。伏して惟みる(おもんみる)に、大阿闍梨(だいあじゃり)、法明道安穏にして道体康和(どうたいこうわ)ならん。最澄、恩を蒙る(こうむる)。法を慕う志、日として渇せざることなし。但(ただ)、両世の障り(さわり)、不意に繁興(はんこう)し、且く(しばらく)法顔を隔つ(へだつ)。伏して願わくは、照察して無縁の慈、貧道を忘れざれ。瑜伽闍梨(ゆがじゃり)豈(あに)、弟子の志を照さざらんや。謹みて妙澄仏子(みょうちょうぶっし)の童子(どうじ)の還るによって、起居(きこ)を奉状す。不宣。謹みて状す。
二月十七日 永世弟子最澄
遍照大阿闍梨
華厳経を奉写し首めて(はじめて)未だ了らず(おわらず)。計みるに来月下旬を以て筆を絶つべし。十一面の中巻写し了る。専ら(もっぱら)使を差しつかわせて将(まさ)に請還せんとす。(後略)』
「春もなかば、ようやくあたたくなりました。大師には修年いよいよ安らかで、お変わりなきことと拝察いたします。
最澄、おかげさまで変わったこともなく、真言法をしたう気持ちは一日たりとも止むことはありません。
ただ、前世の悪行のせいか、はたまた今生のおろかでものの道理にくらいゆえか、おもいもかえないさわり(さまたげ)がしきりにできたりし、心ならずもしばらくお目見えできずにおります。
なにとぞ、この事情をお察し(おさっし)いただき、あまねき仏の慈悲(じひ)をもち、この私を忘れ去ることがないようにひとえに願います。
(中略)
さきにお借りした『華厳経』をうつしはじめたものの、いまだにおわりません。おそらく来月の下旬までにはうつし終わると思われます。
また、先に借りておりました『十一面儀軌』の中巻は写し終わりました。とりあえず、この巻は使者により返却いたします。(後略)
高木訷元『空海と最澄の手紙』法藏館 1999年(参照)
最澄弟子と空海との別れ
最澄は、空海に灌頂(かんじょう)授けてくださいといいます。
灌頂(かんじょう)とは、水を頭の頂(いただき)に注ぐという意味があるように、仏教の中では、最上の地位に達したことを認める意味があります。
空海は、本だけでは真言宗密教の教えを学びきることはむずかしいので、こちらに来て修行を重ねていただかないとあなたの望みを叶えてあげることはむずかしいので、ぜひ、修行に来てはいかがですかと最澄に伝えます。
最澄は、空海の提案に「ならば私の弟子をそちらへあずけますので、彼らにご指導いただきますようよろしくおねがいします」と返事をしました。
最澄は、弟子が得た知識を共有することで灌頂が得られると考えたようですが、弟子の中の泰範(たいはん)は、空海のもとで修行を重ねるうちに空海のもとに残りたいと最澄に伝えもどることはなかったのです。
最澄は、泰範が戻らないことにショックを受け何度も戻ってきて欲しいという内容の手紙を送り続けました。
しかし、泰範がもどることはなく、ついには、空海からあなたのやり方では、密教をきわめることはむずかしいまして、灌頂をさずけてほしいというのはとても無理ですと言われてしまったようです。
その後、最澄は、密教や空海のことを口にすることがなくなったそうです。とはいえ、最澄は、天台宗の祖として日本の歴史にのこるすごい方です。
最澄の実直な人柄がかいま見え、親しみや人の良さまでも感じることができたのではないでしょうか。
能筆であった最澄と空海のお話いかがでしたか。ぜひ、書道を楽しむきっかけにしてみてください。
清水儀範『ザ・対決』株式会社講談社 1998年発行(参照)
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